浮上をかける。
ゆらゆらした揺れがある。

頭も心臓も自分のものでないような感覚がある。

きっと優勝できる。


確信が胸にある。



賞金が手に入ったら、引き揚げ船を頼もう。

いつものジイさん。

この海のことなら、潮の流れや海底の様子まで知っている。

きっとびっくりするだろう。



こんな美人そうはいないさ。




船上のクレーンに動力がはいる。
エンジンの駆動音。ガリガリ音をたてて鎖が下ろされる。

「ほぉどんな別嬪さんか楽しみじゃわい」

「宿酔で操作を誤るなよ、ジイさん」

「バカぬかすな。昨日の差し入れは、い~い酒じゃ。滑らかに動くわい」

丸い浮きの浮くポイントに停泊、これから彼女に鎖をつけなければ。

水の世界にいこう