アリスは探す


自分の【鍵】を




与えられた名前


そして運命と共に








「そろそろ薔薇が
咲く季節ね」



手を何度か
パンパンと叩くと
世話係りの人が
ひとり扉から
出てきた。




「ご用命で
ございますか?」



「えぇ、もちろんよ

庭の薔薇はどう?


早くこの部屋を
真っ赤な薔薇で
埋め尽くしたいの
だけれど?」



だってこの部屋は
あまりにも
殺風景すぎる。



白い壁に白いベッド
白い机にセットで
白い椅子とソファー


白、白、白


白ばかり。