だけど......


せっかく約束通りに来たのに、いねーし。






「なーんだ。またからかっただけー?」



あたしはいつまでからかわれればいいのさ。


半分やけくそになっていたとき。





「......んぐっ!!」


渡り廊下の窓から手が伸びてきて、あたしの腕と口を捕らえた。





な、なんなの!?


まさか......見つかった!?





後ろ向きで引っ張られ、西館の裏へ到着すれば、腕と口は解放された。



「ぷはぁっ!!


な、んだ。王子、かぁ~」




あたしを拉致ったのは、どうやら王子で。


半分安心と、半分警戒。