傷む彼女と、痛まない僕。



 「ん?? 意味なんかないっしょ」

 キョトン顔で僕の顔を見る小山くん。 イヤイヤイヤ。 僕の方がキョトンなんですけど。 正直、小山くんならまた汚れのない言葉を並べてくるものだと思っていたから。

 「・・・『正義くん』の言葉とは思えない」

 「北川、オレの名前馬鹿にしてるだろ。 生まれた時から親に『絶対グレるなよ』っていう圧力かけられてる様なモンだからな」

 『好きで【正義】なワケじゃねぇっつーの』と小山くんが口を尖らせた。

 「してないよ。 文句なしの命名だと思うよ。 ピッタリじゃん」

 「・・・何だろ。 全然喜べない。 てゆーか、むしろ鼻につくわー。 てか、何『生きてる意味』とか壮大なスペクタクルで人生を捉えてんの?? 北川は」

 小山くんが、空いていた僕の前の席に座り、僕の机に頬杖をついた。 心優しい小山くんは、部活に遅れてでも僕の話を聞いてくれるらしい。