「だから、今朝も言ったじゃん。 土曜の試合は楽勝だったし、北川が倒れたのは試合終わってからだったんだから、全然迷惑なんかじゃないって。 てゆーか、倒れたくらいで迷惑がるほど、バスケ部員は心狭くないっつーの。 見縊ってくれるなよ」

 『ホラ、行くぞ』と僕の二の腕を掴んで椅子から立たせようとする小山くん。

 小山くんは、相変わらず今日も正義だった。 本当に優しくて。 優しすぎる。


 『小山といると、自分の不正解さをダイレクトに感じるから、たまにしんどい』

 同感だよ、吉野さん。

 正しさに、優しさに応える事が出来ないと、申し訳なくて苦しいね。


 「・・・・・・僕、生きてる意味あるのかな」

 本当は吉野さんだって、僕だって、正義でいたいのに、哀しいね。