「・・・バイトで稼いだお金を学費に回せたら、どんなに良いだろうって思う」
また、吉野さんがポツリポツリと言葉を零し始めた。
聞き逃したくなくて、少しでも吉野さんを理解したくて、吉野さんの言葉を全部拾う様に静かに耳に入れ込む。
「ワタシね、小学生の頃から、自分は看護師になるんだって決めてたの。 それは、『夢』って呼べるほどキラキラなんかしてなくて。 自分の道はそれしかないんだって思ってた。 看護師になる為の学校って、奨学金が充実してるでしょ?? 指定の病院に一定期間勤めれば全額免除になったりさ。 ワタシは結婚しない。 だから、看護学校でも短大でもなく四大に進学して、看護師免許取って、看護部長になってやる!!って思ってた。 出世して、お金稼いで、他人に迷惑をかけずに生きて、自分の後始末もちゃんと自分でするんだ!!って」
自分の命を不要と言い切る吉野さんは、自分の死を『後始末』と表現した。 小学生の頃から、そんな風に思っていたかと思うと、不憫でならなかった。
「だけど、高校に入って、色んな選択肢がある事を知ると『自分にも他に出来る職業があるんじゃないか??』って変な期待し始めて。 文系より理系の方が、後々就職に有利って聞いて理系クラスに入って。 進学して新聞奨学生になったら、奨学金貰いながらお給料も稼げるな。とか。 だから、バイト代は学費じゃない」
吉野さんの話し出した前向きな言葉に、少しホッとした。 だけど、



