「・・・ワタシは、自分の両親の命をこの世の生ゴミだと思ってる。 そんな2人から産まれたワタシも、当然紛れもない不要でしかない生き物だって自覚してる」
『ワタシは、結婚も出産もしない』『後世に残したい命がない』
前に吉野さんが言っていた言葉を思い出し、その意味を知る。
「・・・・・・そんな事、言わないでよ」
吉野さんの言葉に、何て返せば良いのか分からず、何を言っても上辺だけの言葉になりそうで、でも、どうしても否定したかった。
「・・・どうしてあの2人は、ワタシを産んだりしたんだろう。 育てるお金さえ稼ぐ事も出来ないくせに。 何で子どもは親を選べないんだろう。 親だって子どもを選ぶ事は出来ないけど、産む産まないの選択肢はあるじゃん。 『2人の愛の証を残したい』だの勝手に盛り上がって子作りして、産んだ後は『ここまで大きくしてやったのは誰だと思ってるんだ。 感謝しろ』ってデカイ顔して。 感謝って何?? 一方的に自分達の幸せごっこに強制加入させたくせに。 誰が産んでくれって頼んだの?? 親が子どもを育てるのは当然でしょう??」
吉野さんが、僕の目を見つめて同意を求めてきた。
吉野さんの言い分は分かる。 だけど、両親に愛情を注がれながら生きてきた僕と境遇が違いすぎて、深いところで理解出来ていない様な気がして、頷く事が出来ずに、吉野さんを見つめ返した。



