傷む彼女と、痛まない僕。



 吉野さんと教室を出て、廊下を歩く。

 「・・・北川くん、1時間目サボれる??」

 吉野さんが、僕の方を見ることなく、正面を向いたまま口を開いた。 僕の顔を見たくもなくなるくらい、腹を立てているのだろう。

 「・・・うん」

 1時間目は英語。 暗記系の授業は、僕的には巻き返すのが割りと楽。 覚えるだけだから。

 「準備室、行こっか。 多分誰もいないから」

 吉野さんが、僕の返事を待たずに歩を進める。

 「・・・うん」

 待って貰えなかった返事を小さくして、吉野さんの後ろを追った。