傷む彼女と、痛まない僕。



 いつもは乗らない路線の電車に乗って、遠回りをしながら頭を冷やす。

 どうにもこうにも親への怒りは収まらなかったけれど、僕には他に考えたい事があった。

 冷静になる必要があった。

 全国に行けるかどうかの地区大会で倒れる様な僕が、このままバスケ部にいて良いのだろうか。 辞めるべきなんじゃないのだろうか。

 そして、何より吉野さんの事が心配だった。

 吉野さんは、どうしてそんなバイトをしているのだろうか。

 月曜日、今まで通りに僕と接してくれるだろうか。

 冷静になったところで、僕の気持ちは沈んだままだった。