「あの子、客室コンパニオンをしている。 高校生のくせに旅館の宴会に来て、オヤジに愛想振り撒いて酒酌んで、抱き合って踊って、チップを貰う様な子だ」

 「・・・は??」

 父の言っている事が分からない。 だって、吉野さんのバイトはファミレスだ。

 「先週、接待ゴルフの締めの宴会を旅館でした時、取引先の社長のご機嫌取るためにコンパニオンの派遣を頼んだんだよ。 そこに、彼女がいた。 社長が甚く気に入って、『次もこの子を呼ぼう』ってずっと傍に置いていた子だからはっきり覚えている。 彼女の方もワタシの顔を覚えていたよ」

 話を飲み込めていない僕に、父が更に詳しく説明を入れる。

 吉野さんも僕の父親の顔を覚えていた・・・。 父の話は嘘ではないという事か。