「『大ちゃん』はさすがに・・・。 初日からちょっと馴れ馴れしすぎるでしょ。 大崎さんは年下だけど、僕よりバスケ部暦長いんだから、部活では先輩でしょ?? あ、だから、何でも僕に言いつけていいからね。 僕は病気持ちだから出来ない事もあるけど、大崎さんの手の届かない高い場所にある物とか取る事出来るし、重い荷物とかも全然運べるし。 吉野さんに言われたんだよね。 『自分の出来ない事を他人に頼る分、自分の出来る事で返せばいい』って」
「・・・また吉野さん」
吉野さんの名前を出しただけで顔を顰める大崎さん。
吉野さん、何かごめん。 吉野さん、大崎さんに相当気持ち悪い人って思われてるっぽい。
心の中で吉野さんに謝っていると、
「じゃあ、先輩命令です。 ワタシを『大ちゃん』と呼ぶ事!!」
大崎さんが『大ちゃん』をゴリ押してきた。
何故か意固地な大崎さんに、何を言っても跳ね除けられそうで。
「・・・はーい」
呼び方ごときで揉めるのも面倒なので、素直に返事をすると、
「よろしい」
大崎さん・・・もとい、大ちゃんは満足そうに顔をほくほくさせた。



