「大崎さんは?? なんで男バスのマネーシャーやってるの?? 女バスの選手になろうとは思わなかったの??」
とりあえず、吉野さんの話題から離れる事に。
「ワタシ、運動神経がカケラもないんですよ。 でも、ワタシもバスケ見るの大好きで。 で、マネージャーになろうと。 女バスじゃなくて男バスを選んだのは、男子の方が足が速い分ボール運びも速いじゃないですか。 ワタシはゲーム展開が速い方が好きだから。 ・・・だけど、他の女子から見たら、男好きに見えるみたいです、ワタシ。 バスケしてる男子って、やっぱカッコイイじゃないですか。 狙いに行っている様に見えるらしいです。 だから『アイドル』なんて呼んでくれるの、部員だけで、他の人からは割りと白い目で見られてるんですよ、ワタシ」
話を変えても明るい話にはならず。
大崎さんが悲しそうに笑った。
「・・・大変だね」
『どんまい』なんて軽々しい言葉を言える空気じゃないし、慰められるほど、大崎さんと友情を育んでもいない為、何とか同情の言葉を選ぶ。
「別にいいんです。 分かってくれる人がいればいいんです。 北川センパイが分かってくれればいいんです。 あ、北川センパイもみんなみたいに、ワタシの事『大ちゃん』って呼んでくださいね」
大崎さんが笑顔を作って僕を見上げた。
・・・あぁ。 このコ、凄く良いコなんだけど、無意識に女子を敵にまわすタイプのコだ。 男子を取り込むのが、とても上手い。



