傷む彼女と、痛まない僕。

 
 「いますよね。 不思議さん」

 大崎さんが困り笑いを浮かべた。

 「んー。 不思議な事には間違いないんだけど、吉野さんの場合、ファンタジーじゃないってゆーか・・・」

 むしろバイオレンス。

 「・・・どんな人なんですか。 その人」

 大崎さんが、眉間に皺を寄せながら首を傾げた。

 「僕にも分かんない。 小山くんが吉野さんの事もバスケ部のマネージャーに誘ってたんだけどねー。 断られちゃった」

 「何で良く分かんない人誘うんですかね、小山センパイ」

 大崎さんには吉野さんが『変な人』と認識された様で、『入部して来なくて良かった』とばかりに胸を撫で下ろした。

 これでは吉野さんに申し訳ないので、『それは違うよ』と否定したいのだけど、そもそも吉野さんの事を良く知らない僕は、吉野さんが変な人ではない確信さえなかった。

 ので、どうする事も出来ず。