傷む彼女と、痛まない僕。



 選手たちが練習をしている間、マネージャーがやる事と言えば雑用だ。

 洗濯したり、スポーツドリンク用意したり、選手が打つシュート本数数えたり。

 大崎さんと2人で、弾みの悪いボールに空気を入れている時だった。

 「・・・あのー。 聞いてもいいですか?? 嫌だったら答えなくて全然構いませんので!!」

 何か、ずっと気になっていた事があった様子の大崎さんが、僕に聞き辛そうに伺いを立ててきた。

 「どうぞ??」

 「・・・あの。 何でマネージャーとしての入部なんですか?? バスケ、見る専なんですか??」

 申し訳なさそうに、僕の顔を見れずにボールを一点見つめの大崎さん。

 「出来ないんだ。 病気で。 だから、見る専っていうとちょっと違うかもだけど、見るのは好きだよ」

 「・・・病気・・・だったんですね。 すみません。 こんな事聞いてしまって」

 質問をしたのを後悔したのか、大崎さんはしきりに頭を下げた。