・・・・・・ご褒美。
欲しいものは、ある。 でも言ったら引かれるかな。 気持ち悪がられるかな。 だけど、何でか今言いたい。
「・・・僕が薬剤師になって、立派な大人になったら、お嫁さんに来て欲しい」
「・・・・・・」
返事をしてくれない吉野さん。
言ってから激しく後悔。
吉野さんの眉間に皺が入り、明らかに困った顔をしている。
『冗談だから!!』と即座に取り消そうとした時、
「・・・それ、北川くんのご褒美になってないじゃん。 ワタシのご褒美になっちゃってるじゃん」
恥ずかしそうに嬉しそうに『他の考えて!!』と僕の二の腕に軽くパンチを入れると、何故か早足で僕の前を歩き出した吉野さん。
その後ろ姿を見て思う。
キミこそ僕の生きる理由。
キミがいる世界は、人生は、美しく素晴らしい。
傷む彼女と、痛まない僕。
おしまい。



