傷む彼女と、痛まない僕。



 「・・・吉野さん、前に『いらない命はある』って言ってたじゃん」

 「・・・うん」

 「・・・僕、吉野さんの両親の命も【必要な命】だと思ってるよ。 皮肉な話かもしれないけど、吉野さんがこの世にいるのも、僕が好きになった吉野さんが形成されたのも、二人がいたからだから。 吉野さんの両親がした事はいけない事。 だけど、吉野さんを産んでくれた事は、僕にとっては最大の感謝。 吉野さんの命は、僕の宝物」

 若干くさいかな、この台詞。 と思いながらも、どうしても伝えたかったし、告白後の今なら許される気がして、思い切って話すと、

 「臭いよー。 激臭だよー。 目にきた。 泣ける。 でも、嬉しいよ。 ありがとう」

 吉野さんは僕をバカにしながら、目に滲む涙を袖で拭った。