傷む彼女と、痛まない僕。


 「北川くんは優しいよね。 痛みを感じない病気だったら、何の罪悪感もなく誰かに暴力振るっても不思議じゃないのに、北川くんはしないよね。 男子に殴られた時も、やり返したりしなかったんでしょ?? 北川くんの事だから」

 「しなかったねー。 僕の場合は優しいとかじゃなくて、痛みが分からないから他人に傷を負わせる事に意味を感じなかったってゆーか。 だって、ダメージ受けてるのか受けてないのかイマイチ分かんないから」

 「分かってるくせに。 表情見れば分かるじゃん。 優しいね、北川くん。 本当に優しい」

 吉野さんが、柔らかい表情をしながら何度も僕を『優しい』と褒めながら微笑んだ。

 優しい人間でありたいと思った。 もっともっと優しくなりたいと思った。

 「僕の優しさは、誰にでもってわけじゃないよ」

 吉野さんだから。 吉野さんには特別優しくしたいんだ。