傷む彼女と、痛まない僕。


 「・・・・・・ワタシにとっても初恋だよ」

 吉野さんが、耳を赤くしながらそっぽを向いた。

 「・・・気持ち悪いわけないじゃん。 好きな人の病気だから勉強したいって思ったんじゃん。 ・・・だけどワタシは、親が死んでもきっと涙ひとつ零さないよ。 そういう人間だよ。 こんな人間好きになっちゃダメだよ。 ワタシみたいな人間は、恋愛なんかするべきじゃない」

 涙が込み上げてきたのか、吉野さんが鼻を啜った。

 「泣かない吉野さんを悪だなんて思わないよ。 本当は泣ける人間でありたいって思ってるの、分かってるから。 両親の事を赦せないなら、赦す必要ないと思うよ。 その事で吉野さんを『心の狭い人間だ』なんて一切思わない。 赦しちゃいけない事は赦すべきじゃないと思うから。 ・・・でも、もし吉野さんの両親が反省して謝罪をしてきたなら、赦せなくとも聞き入れて欲しいな。とは思う」

 「・・・そうだね。 ・・・北川くん、ちょっと向こう見ててくれないかな」

 僕の話に共感してくれた吉野さんに、何故か在らぬ方向を見る様に支持された。

 言われるがまま遠くの風景を眺めていると、