傷む彼女と、痛まない僕。



 「・・・じゃあ、図々しいのですが早速甘えていいですか??」

 吉野さんがいたずらっぽく母に話しかける。

 「なになに??」

 「そろそろワタシも失礼しようかと思うのですが、靴を履かずに家を出てきてしまいまして・・・サンダルを貸していただけないかと」

 苦笑いの吉野さん。 そうだ、僕、吉野さんを裸足のまま連れ出したんだった。

 「そうね。 多分、ワタシと吉野さん、靴のサイズ違うからサンダルの方がいいわね。 どれでも好きなの履いていいけど、おばさんが履く突っ掛け的なサンダルしかないからね。 そこは我慢してね。 こんな時の為に可愛いサンダル買ってよ、お父さーん」

 吉野さんを言い訳に、ここぞとばかりに強請る母。

 母は吉野さんと違って甘え上手だ。

 「よしよし。 明日、仕事帰りに1番可愛い1000円の健康サンダル買ってきてやるな。 可愛いのに健康になるんだから、文句のつけようがないよな」

 上手に甘えてみたものの、父に軽くあしらわれ、母のおねだりは失敗に終わってしまったけれども。