「今回の件はね、吉野さんに非は全くないと思うよ」
父がゆっくりと話出した。
「でもね。 もっと違うやり方もあったんじゃないかと思うんだ。 反対していた父親の独立を応援する事は、嫌だろうしそんな気になれないのも分かる。 でも、ほんの少しだけでもお父さんを気遣う事をしていたら、事態は違ったんじゃないかなと思うんだ。 吉野さん、お父さんに『お疲れ様』とか『頑張ってね』とか言った事あった??」
「・・・・・・ありません」
父の話に、吉野さんが首を左右に振った。
「そうだよね。 応援してなかったんだもんね。 でもさ、嘘でも、心にもなくても、そういう言葉を掛けていたら、お父さんも『応援してくれる娘の為に踏ん張ろう』って思えたかもしれないよ。 頑張って結果が伴わなかったとしても、頑張ってくれた分、吉野さんだってお父さんの事を少しでも赦せる気になれたかもしれない。 とは、思わない??」
「・・・・・・」
父を真剣に見つめる吉野さんの瞳に、涙が溜まった。



