吉野さんと本田さんが僕の部屋に入って行き、リビングに両親と3人で取り残された。
どうしても気になって、自分の部屋の方向を見てしまう。
「そりゃ、気掛かりだわな。 あんな末恐ろしい女と差しで話させられてるかと思うと、背筋凍るよな」
そんな僕に、思いっきり他人事な言葉を発する父。
「イヤイヤイヤ。 お父さんが呼んだんでしょうが」
振り返り、父に白い目を向ける。
「まぁ、鬼の様な女だけど、あの人に任せておけば心配ない。 あの人、いつもはテレビで報道される様な刑事事件担当したり、大企業の顧問弁護士やってたりするんだけど、民事事件も得意な人だから」
散々不安にさせておいて『安心しろ』と言う父。
僕が心配なのは、本田さんの事ではない。 弁護は本田さんに委ねて問題ないと思う。 僕が気にしているのは、吉野さんが緊張せずに言うべき事を、言いたい事を全て本田さんに話せているのかどうかだ。
吉野さんを気に掛けながら、2人が戻ってくるのをソファーに腰掛けながら待っていると、リビングのドアが開いた。
話し終えた吉野さんと本田さんがリビングに戻って来た。



