傷む彼女と、痛まない僕。


 「ちょっとちょっとー。 ワタシ、子どもに遠慮させる様なしょぼい大人のつもりじゃないんだけど、そう思われてるって事なの??」

 吉野さんの恭しい態度に、母が白々しく拗ねた。

 「そんなそんな!! そういうつもりじゃないんです。 すみませんすみません」

 吉野さんをリラックスさせたくて取っただろう母の言動に、緊張気味の吉野さんは気づく事なく身構えた。

 「吉野さん吉野さん。 母が手を差し伸べているわけなので、振り払わないで欲しいな」

 『遠慮深いね、吉野さんは』と吉野さんに笑いかけると、

 「・・・・・・いいのかな」

 他人に迷惑を掛ける事を兎に角嫌う吉野さんが、戸惑いながら僕を見つめ返した。