傷む彼女と、痛まない僕。


 目の前で警察官が近くの駐在所と連絡を取り、パトカーの手配をし出した。

 どうやら僕らは、そのパトカーで病院に送られるらしい。

 パトカーを待つ間、警察官が僕らに職質を始めた。

 「キミたち、高校生?? 男の子の方はM高の制服だよね?? 何年生?? どうして2人とも怪我をしているの??」

 警察の人間に全部話したら、吉野さんはもうあんな辛い目に遭わなくて済むのかもしれない。 でも、吉野さんは国の援助を求めていない。 だけど、こんな吉野さん、見てられない。

 話そうか話すまいかを迷っていると、

 「・・・・・・怪我は、ワタシの父の暴力です。 彼は、暴行を受けるワタシを助ける為に、こんな時間に学校を抜け出して来てくれました。 彼は何も悪くない。 だから、彼を学校に報告する様な事はしないで頂けませんか?? 病院で手当を受けた後、彼は帰宅させて下さい。 彼は学校や警察に指導されるべき悪事を何一つ働いていないのですから」

 吉野さんが僕の一歩前に出て、僕の体裁を守ろうと警察官に向かって話し出した。