傷む彼女と、痛まない僕。


 「・・・吉野さんの嘘吐き。 この前資料室で話した事が全部じゃないじゃん。 話の脈略で汲み取れなかった僕も相当アホだけど、自分も暴力受けてるんだって事、なんで話してくれなかったの??」

 知っていたら、もっと早くに助け出せたのに。 吉野さんの怪我もこんなに酷くなる事もなかっただろうに。 今更でしかない質問を吉野さんにぶつける。

 「話してたら、『吉野さん、怪我してる背中で僕の事おぶってくれたんだ』とか気に病むでしょ??どうせ。 北川くん、気にしいだから。 言っておくけど、あの時は随分治ってたからね。 全然痛くなかったから」

 「そういうの気にする吉野さんの方が、よっぽど気にしいじゃん」

 吉野さんの反論に言い返すと、吉野さんは口を尖らせてそっぽを向いた。

 あぁ。 僕はきっと、吉野さんのこういう可愛さと優しさに惹かれたのだろう。