傷む彼女と、痛まない僕。


 手の届かない背中を、擦る事も出来ない吉野さんは、『ふぅふぅ』と苦しそうに呼吸をしながら痛みに耐えていた。

 吉野さんの背中、ただでさえボロボロなのに。

 吉野さんの父親は、周りの人間にバレない様に、吉野さんの背中や腰など、傍から目に付かない箇所を執拗に攻撃していたのだろう。

 ・・・なんて卑怯なんだ。 狡すぎる。

 湧き上がる怒りが、もう自分では手に負えない状態にまで達してしまった。