傷む彼女と、痛まない僕。


 「特段知りたくもないですよ。 ・・・本当は結構前から気付いていたんじゃないんですか?? 『自分に自営業は向いていない』って。 アナタの性格が邪魔をして、引くに引けない状態になっただけでしょう。 恥ずかしくて、カッコ悪くて頭を下げられない。 だったら今のアナタは何なんですか?? 働かずに家族に暴力振るって。 相当ダサいだろうが!! 下げろよ、頭の1つや2つ。 難しい事じゃないだろうが!! 何でこんなに状況が悪化するまで、悪化しても尚、改善しようとしないんだよ!!」

 「うるせぇな!! オマエに関係ないだろうが!!」

 吉野さんの父親が僕に掴みかかり、馬乗りになった。

 「やめて!!」

 僕に怪我をさせまいと、僕と吉野さんの父親の間に、吉野さんが自分の身体を挟み込んだ。

 『何でって・・・手遅れだからだよ』吉野さんが僕の耳元で呟いた。

 手遅れになるまで拗らせてしまった事を分かっているから、吉野さんの父親は事態の建て直しを放棄した。 吉野さんも父親の改心を諦めてしまった。

 そんな吉野さんが、

 「・・・言うよ。 だから、北川くんに迷惑が掛かる事はしないで。 北川くんから離れて!!」

 頑なに口を噤んでいた秘事を話すと言い出した。