傷む彼女と、痛まない僕。


 「危ない!!」

 咄嗟に吉野さんを抱き寄せ覆い隠すと、

 「ダメッ!!」

 吉野さんが上になる形で僕を押し倒し、僕に覆い被さった。

 そして、『ゴスッ』と鈍い音がした後、『ぐぅ』と吉野さんが小さく唸った。

 吉野さんの父親の拳が、吉野さんの左肩に入っていた。

 「何で??! 吉野さん!!」

 どうして痛い思いまでして僕を守るの??

 「・・・言ってたじゃん。 『痛みは感じなくても、危害を加えられたら骨は折れる』って」

 「いいんだよ!! それでも僕は痛くないからいいんだよ!! ・・・何でそんな話、いちいち覚えてるんだよ」

 「それでも嫌なんだよ!! 北川くんが怪我をするのは嫌なの!! 北川くんこそ、いちいちワタシの家なんかに来ないでよ!! さっさと帰ってよ!!」

 ぐちゃぐちゃな顔で泣きながら僕に怒鳴る吉野さん。


 ・・・こんな吉野さんを置いて、どうして帰れると思うの??