傷む彼女と、痛まない僕。


 その場に膝をつき咳をし続ける僕に、

 「ん゛ー!! ん゛ー!!」

 ガムテで口を塞がれている吉野さんが、涙を流しながら何かを叫んでいた。

 腹を摩りながら吉野さんに近づき、ゆっくり口に貼られているガムテを剥ぐと、

 「ごめん!! ごめんね、北川くん!! ごめんなさい!! 帰って!! お願いだから帰って!! 帰って帰って帰って!!」

 自分が悪いわじゃないのに、吉野さんは何度も僕に謝罪をすると、僕を巻き込むまいと帰る様に促した。

 そんな吉野さんの背後に立ちはだかり、

 「何?? オマエら付き合ってんの?? さっさと言えよ。 そうしたら思う存分彼氏と遊ばせてやるから」

 吉野さんの父親が吉野さんの後頭部を足蹴にした。