傷む彼女と、痛まない僕。


 「【民事不介入】知らねぇのか?? 馬鹿が」

 吉野さんの父親が、睨みを利かせながら僕に顔を近付けた。

 「知ってますよ。 【児童虐待防止法】ってご存知ですか?? アナタ、第2条に抵触していますよ。 それに、今アナタが僕を殴ったとしたら【傷害罪】。 立派な犯罪になります。 民事ではなく刑事事件。 僕は赤の他人ですからね」

 怒りのあまり、トゲトゲしく吉野さんの父親を馬鹿にした様な挑発的な言い方をする。

 「はぁ??!」

 目尻を吊り上げた吉野さんの父親が、急に膝で僕の腹部に蹴りを入れた。

 『ごほごほ』と思わず咳き込む。 当然痛くはないのだが、腹筋に力の入っていない時に衝撃を加えられれば、みんなと同じで一瞬息も止まるし、呼吸もし辛くなる。