傷む彼女と、痛まない僕。



 ----------あっと言う間に4時間目が終わり、ランチを食べるべく、クラスメイトたちが机を動かしながらザワつき出した。

 そんな中、朝学校に来る前にコンビ二で買っただろう、パンやお茶の入った袋を手にした小山くんが、どこかへ移動しようとしている姿が目に入った。

 「待って。 小山くん!!」

 慌てて立ち上がり、教室を出かかっていた小山くんを扉付近で捕まえる。

 「・・・何??」

 立ち止まって冷たく返事をする小山くん。

 「・・・・・・」

 どうしよう。 小山くんに白状しようとするだけで緊張する。 なかなか言葉が出てこない。 こんなんで僕は、吉野さんに思いを伝える事など出来るのだろうか。

 「・・・何??」

 『オレ、腹減ってるんだけど』と言いながら、小山くんが再度僕に問いかける。

 『すぅ』と小さく深呼吸して覚悟を決める。


 「・・・・・・あの・・・さ。 ずっと小山くんの事からかっててゴメン。 セコイ事ばっかしてゴメン。 ・・・僕も勝負をしに行きたいんだ。 だから、吉野さん家の住所を教えて欲しい」