傷む彼女と、痛まない僕。



 『北川はセコイ。 何でもかんでも病気のせいにして、初めから勝負をしない』

 『ワタシは告白をして良かったと思ってます。 好きな人には、ワタシはアナタの事が好きなんですよって知っておいて欲しいです』

 小山くんと大ちゃんの言葉が脳裏を過ぎる。


 僕はそこまで馬鹿じゃない。

 自分の気持ちくらい、本当はとっくに分かっていた。

 だけど、気付きたくなくて、気付いていないフリをしていたくて。

 昔から、病気の事で心を傷める事が多かった。

 いつも、傷つかない方法を探りながらやり過ごしていた。

 傷ついて立ち上がれなくならない様に、自分の心を守りたかったんだ。

 ・・・でも。

 僕だって、逃げ回りたいわけじゃないんだ。 勝負をしたくないわけじゃないんだ。 自分の気持ちを伝えたくないわけじゃないんだ。

 どうしても吉野さんに会いたいんだ。

 吉野さんの事が、心配で仕方ないんだ。