傷む彼女と、痛まない僕。


 どうしたら、小山くんから吉野さんの家の住所を教えてもらえるだろうか。

 もたもたしている間にも時間は過ぎて行き、気が付けば4時間目になっていた。

 小山くんから聞き出す方法がないわけではない。

 『僕は吉野さんが好きなんだ』と嘘を吐けばいいだけ。

 ・・・嘘。


 『もし吉野が北川に告って来たとしたら、付き合うんじゃないの??』

 小山くんの言葉を思い出す。

 そんな事はあり得ないだろう。 でも、万が一、1000万が一、そんな状況になったとしたら、僕はその告白を断るだろうか。

 大ちゃんに告白された時の様に、吉野さんの事を振ったりするのだろうか。

 そんな事、僕に出来るのだろうか。