傷む彼女と、痛まない僕。


 小山くんには話したのに。 僕が恋愛をしない事を知っているはずなのに。 確かに『それは違う』って小山くんに否定されたけど、でも、『大ちゃんとはそういうカンジじゃない』って何度も言ったのに。

 小山くんへの疑問を頭の中でぐるぐる巡らせていると、

 「・・・・あの、振られておいて図々しいんですが、明日からも普通に接してもらえませんか?? よそよそしくされると、余計に傷つくので」

 そんな僕に、大ちゃんが言いづ辛そうに口を開いた。

 考え事をしていた僕が、大ちゃんを迷惑がっている様に見えたのかもしれない。

 「全然図々しくなんかないよ。 勿論明日からも仲良く部活しようね。 断っておいてなんだけど、大ちゃんの告白、嬉しかった。 あと、何か勘違いしてるみたいだけど、僕に特別好きな人はいないよ」

 素直な気持ちを大ちゃんに伝えると、

 「振っておいてそんな事言わないで下さいよ!! 泣いちゃうじゃないですか!! 北川センパイのばーか!! 嘘吐きー!! お疲れ様でした!! また明日!!」

 大ちゃんは、我慢していた涙を零し、走って体育倉庫を出て行った。