「・・・小山はいいよね。 何の心配も苦労もなく、希望を志望出来るから」
吉野さんが、怒りを握り潰す様に、机の上で握りこぶしを作っているのが見えた。
「・・・何それ。 何か悩んでるなら相談くらい乗るよ??」
吉野さんの少々嫌味がかった言葉に、小山くんが困った表情を浮かべた。
「・・・ありがとう。 大丈夫。 ゴメン。 何、小山に当たってるんだろうね、ワタシ。 ゴメン」
吉野さんは、自分の悪態を謝ると『いちいちこっち向かなくていいっつーの』と言いながら、小山くんに前を向く様に促した。
彼女は、何に苦しみ、何に怒っているのだろう。