その翌日からしばらく、翔は目を覚まさなかった。



心配で心配でおかしくなりそうだった。



そして一週間後、病室にいくと翔が目を覚ましていた。



なにより嬉しかったのは私を思いだしてくれたことだ。



やっぱり神様っているんだね。



「おはよう、翔。」



「おはよう、奈々。」




この何気ない会話の嬉しさ、感動をわたしは忘れない。



なのに病魔は翔の体をどんどんむしばんでいく。



「ごめんな、奈々。ほんとごめん。こんな体で。どこも連れてってやれねーし、最近お前は笑わなくなった。ほんとうにごめんな。もういいよ、奈々。俺を忘れろ、自分の人生を歩め。」




「なにってるの。ずっとそばにいるって言ったじゃない。そんなこと言わないで。私は諦めてないからね。治るって信じてるから。」



私は涙が止まらなかった。


いつ以来だろう?こんなに泣いたのは


翔のために頑張ってきたのにまさか翔に心配されるとはね。


笑ってない…か。


そうかもしれない


笑い方忘れちゃったのかな?


最後に笑ったのはいつだろう?


なにも言えなかった