嫌なアイツ





『由良には色々、手伝って貰わないとダメな事があってな。それで由良には黙ってる様に俺が口止めした。』



…………………。



『海莉ちゃんの出産の時も愛莉…。俺はお前に逢ってるんだけどな?お前が俺に気付かなかったんだよ…』


翔は笑って言った。


『式典の時もお前に逢ってるしお前が式典の間ずっとカイザーとジュリアとテント暮らしをしてたのも知ってた。心配だったから観に行ったら愛莉は警備員の人と仲良く笑いながら喋ってたから警備員さんに毎日お前が何を喋ってるのか?聞いてたよ…』


翔はそんな事まで言い出した。



じゃ何で私の前に直ぐに姿を現わさなかったのか?
と聞いた。



『それは…。ある事をする為に身を隠す必要があったから…それは俺一人では無理な話しだったから由良に協力をして貰った。今はまだ愛莉に話す事は出来ないんだ…』


翔はハッキリした口調で言った。




私に言えない事…


私が下を向くと…



『愛莉?じきに解るから…。そんなに落ち込まないで…。』


翔は私を抱き締め優しい声で言った。



『心配しないで…。俺はもう何処にも行かないし愛莉を離しはしない…。』