「国立が危険なやつだとオレはさんざん警告したはずだ」

「ごめんなさい……」

 レンのいっていたことは正しかった。素直に謝る。泣きっぱなしの顔でハンカチを求めて制服のポケットを探った。ハンカチを探り当てるまでもなく葉菜の前に近づいたレンが、頬を濡らす涙を指先で拭う。国立とは全く違う、長く細い綺麗な指が。優しい仕草のレンを見上げると感情の見えない青い瞳が真っ直ぐに見下ろしていた。

「オレの忠告を無視したお前にも罰を与えなければならない」

「え……?」

 私も殴られるの?
 殴られるのを予感した葉菜がぎゅっと目を閉じた。

「………!」

 しばらくそのまま身構えていると唇にやわらかな感触。驚いて目を開けると、葉菜の身長に合わせて少し屈んだレンがキスをしていた。
 これが罰……?
 助けてもらった恩義からか、いつもなら嫌がるキスも抵抗することなく受け止めた。それに気をよくしたレンがキスをしやすいように葉菜の顎を指先ですくいあげる。唇ごしに、温かくやわらかなものが葉菜の口を開こうと唇の入口をなぞった。

「!」

 ま、また舌を入れようとしてる!