夏希は大声をあげながら寝室へ

向かっていた。



「おかーさん、どこー?」




「バカ、おまえなにしてんだよ!」



部屋から扉を開けて話しかけてきたのは

兄の冬斗だった。



「おかーさんといっしょにねるのー!」


夏希は4歳、幼稚園児

1人で寝るにはまだ寂しい。



「おとーさんと寝てるからダメだぞ」



前に立ち、道をふさぐ冬斗を押しのける。




「ねたいー、やだー!」





「…」




バシッ




「いたい!!おにーちゃんのバカ!」






「おまえがばかだろーが!」




「バカっていった方が


バカなんだよーバカー!」





「口ごたえすんなよ!バカのくせに!!」






「夏希、冬斗、なんで喧嘩してるの?」





大声を聞いた母が心配そうに駆け足で階段を上がって来た。

夏希は母親に抱きつき冬斗を睨む。





「なつきがわるいんだぞ」





「おにーちゃんきらい」





いつもの兄妹ケンカに安心して

2人の頭を撫でた。




「冬斗、また夏希を叩いたでしょ」



無言でうつむく冬斗に

悪気が無いことをさとる。




「冬斗、夏希、いっしょに寝よっか!」



「ねる!ねるー!」



母の手を掴みジャンプしながら喜ぶ夏希に対して、冬斗は自分の部屋の扉を開けた。




「冬斗、いっしょに寝ないの?」





「俺はもう、小学生なんだ。


1人でねたって怖くないし、幽霊なんて怖くない!」




意地を張る冬斗に母は



「我慢することはもちろん大切だけど、素直になることで成長できる時もあるのよ」




「せいちょう?」




「せいちょーってなにー??」





「おおきく、大きくなることよー」





夏希はもうどうでもいいのか聞いた後、1人で階段を降りて行った。




「冬斗も行くわよ、」





「…………うん…。」










夏希4歳、冬斗7歳

















いつからその行為は始まったのか。