「じゃあまずデッサンの基本から教えるね」
「は、はいっ」
放課後になり、私は柊先輩に絵を教わっていた
「なんか、こうして先輩に教えてもらうの久しぶりですね、緊張するっていうか、なんだろう、あはは」
自分でも何を言ってるのかわからなかった
夕日に照らされた教室はいつもの教室とどこか雰囲気が違い、何か感じるものがあった
「外、綺麗だね」
「そうですね、先輩はよく空を描いてましたっけ」
私は、はっとした
自分が先輩の絵を毎日見ていたなんて知られたら恥ずかしかった
「うん、いつ見ても違う空が好きだったからね」
「私は、先輩の絵が大好きです。どこにあってもひとつだけ輝いて見えたんです。」
「大袈裟だなぁ」
「そんな事ないですよ、いつも憧れてました。」
「…絵だけ?」
「え…?」
絵だけ…?
どういう意味なのか一瞬戸惑った
私は先輩の描く絵が大好きでいつも見ていた
だけどそんな絵を描く先輩も…
「あ、ごめん、変な事言っちゃって。今日はここまでにしておくね」
そう言って先輩はドアを閉めて帰っていった
「好き…?」
