折角のバカンスも一変。

命を狙われている事が判明したナターシャは、翌朝の便で帰国する事になった。

本当はもっとタヒチでのバカンスを満喫したいとごねたナターシャであったが、そこは霸龍闘とリィの説得もあっての事だ。

バカンスはまた来られる。

しかし命は一つしかない。

ロシア議会の議員の娘ともなれば、テロリストは普通の大学生とは見てくれない。

人質にして議員の武器密輸防止法案の撤回をさせよう、或いは莫大な身代金でも要求してやろうと考える。

無防備にリゾートにやってきたナターシャは、テロリストから見れば葱を背負った鴨でしかないのだ。

「葱を背負うの?鳥の鴨が?動物虐待?」

「いや…わからんならいい…」

ロシア人のナターシャに、日本の例えを持ち出したのが間違いだったと考える霸龍闘だった。