話は先週まで遡る。

モスクワ環状道路での大立ち回りで、大物議員をテロリスト達の襲撃から守り抜いたエージェント霸龍闘とエージェント・リィ。

議員はいたく感激し、わざわざインフィニティ・セクター本部にまで直接足を運んで、二人に礼を述べに来た。

本来ここは、関係者以外がおいそれと足を踏み入れられる場所ではないのだが。

…で。

議員が直々に訪れたのには理由がある。

彼には大学生になる一人娘がいるのだそうだ。

ナターシャというその娘が、バカンスでタヒチに行くそうで。

「「……」」

顔を見合わせる霸龍闘とリィ。

嫌な予感しかしなかった。