ノヴォシビルスクは、ロシア連邦・シベリアの中心的都市。

別名『シベリアの首都』。

ノヴォシビルスク州の州都でオビ川に沿う。

人口は約147万。

人口規模は国内第3位で、シベリアでは最大である。

ヨシフ・スターリンによる第一次五ヶ年計画で重工業に傾斜した産業政策が始まり、ノヴォシビルスクはシベリア最大の産業の中心地の一つとしての地位を固めた。

1930年代のノヴォシビルスクには鉱山用設備の製造に特化した巨大工場『シブコムバイン』をはじめとする大工場や新発電所などが建設された。

一方で、1932年のソビエト大飢饉で17万人以上の国内難民がノヴォシビルスクに流入している。

彼らは市の郊外にバラックを建てて住み、ボルシャヤ・ナハロフカ、マーラヤ・ナハロフカなどのスラムが形成された。

こうした急速な産業化と巨大化が、ノヴォシビルスクに『シベリアのシカゴ』という綽名を与えている。

その工場群の中の一つに、霸龍闘とリィは訪れていた。

固く閉ざされた鉄扉の両端に立ち、白い息を吐きながら頷き合って意思の疎通。

霸龍闘が静かに、しかし素早く鉄扉の施錠をピッキングで開け、内部に足を踏み入れる。

油断なく銃口を走らせつつ、内部を確認。

人の姿はない。

が。

《姿が見えなくても油断しないで。複数の気配があるよ》

黒い靄に包まれた、中性的な人の姿がリィの耳元で囁く。

闇の精霊シェイド。

リィの影に隠れて、周囲を警戒していたらしい。