『私…全部事故で忘れてしまって。貴方も両親も、この土地も。全部。』
少し息を吐いてからポツリと言うと、彼は微笑んで答えてくれた。
「大丈夫、分かってるよ。それを分かった上で帰って来てる。どんなに変わったヒナでも俺は会いたかったから」
『でも“以前の大原ヒナ”は何処にも居ないんです。家の事も分かりません、それでも…?』
「勿論、明日写真も交えて話そうか、その方が分かるだろう?取り敢えず今日はのんびり休んで、明日会おう。俺もこれから少し挨拶して来ないとだから」
『ありがとうございます。えっと…』
「龍也、ヒナと家族だけの呼び方だよまた明日ね」
そう告げるとリュウ…龍也は病室をあとにした。