キミはまるで海のようで


しばらくして三人を部活へ送り出し、わたしは誰もいなくなった教室で椅子に座りこんだ



「……はぁ……だるい」



どうしようか、お母さん呼ぼうかなぁ
でも、お母さんわたしが不登校になって以来ちょっとのことですぐ騒ぐからなぁ…




まだ熱もそんなに高くないみたい。だるさはあるけど早く帰ろう



わたしはそう思って重い体を起こして立ち上がって、下駄箱へ向かった




校門に向かって歩いていると、バスケ部が外周を走っていた



その中に和の横顔が一瞬見えた




他の人なんて目に入らない。和だけしか見えない




あぁ、わたしは完全に和に夢中だな




今まで本気の恋をしたことなんてなかった。和が教えてくれた


好きな人と目が会うだけでうれしいこと
話すだけでうれしいこと




ねぇ…和、わたし熱がやっぱりあるのかな





あなたに、わたしをわかってもらいたい。
そして、あなたを知りたい、

わかってもらううれしさと知るうれしさ

あなたに教えて欲しい




そんな風に思ったことなんて…思えたことなんて一度もないのに




今日はなんか、そんな風に思ったりする


恋するだけで、なんか世界が変わったみたい



「……ねぇ。」



いきなりすぐ横で声がした
驚いて振り向く




「……‼︎」