確かに泣いている……。声をひとことももらさずに、ただ涙を流していた。
ちょっとどうしようか迷ったとき、いきなりその男の子が立ち上がった。
そして、おもむろに手に持っている何かを海に投げ捨てようとした。
「あっ…………!」
思わず、声が出てしまった。男の子がびっくりしてこちらを振り返った。あわてて口をおさえ、防波ブロックに隠れる。
…何こえだしちゃってんの、わたし!
しかってももう遅い…
見てたことがばれて恥ずかしいし、これからどうしようかでわたしは軽くパニックになった。
そのとき、朝日がかげった
「何、してるの?」
ゆっくり見上げると、そこには男の子がいた。朝日の光と海の優しい青が彼の向こうに見えた。
