「う、う〜ん……」


わたしは苦笑いして返事を濁した


「自分でも、わからないや……好きな人いたことないからなぁ」



今思い浮かぶのは西島くんだけど…好きかどうかはまだわからない。ただ、何か特別な……ものを感じる人。


それに、私は……もうひとを信頼できないのに恋愛なんかしていいのかな……


自分を心から信頼できない人と付き合えるひとなんて……きっと、いない





「じゃあ、誰か思い当たるひとはいるんだねー…?」


ニヤニヤしながら真希が聞いてくる。
わたしは少し考えて答えた


「いち……おう?」



「ふーぅん…楽しみ楽しみ、相川ファンクラブの連中が何言うかな」




……は?相川ファンクラブ??



「何それ…わたしのファンクラブができてんの?」


あはは、ちょっと大げさに言っちゃったって真希が笑う



「凛は鈍いなぁ、自分が美人て気がついてないしぃー…どんだけの男子が凛がきてそわそわしてんとおもってんの!」



「美人て…わたし程度で?嘘だぁ」


本気でいったら、ちぇっと、真希が可愛く口をまげる。


「これだから恨めないし、まったく」


そのとき、チャイムが鳴った。さぁ、いこいこと真希が立ち上がる


真希と歩きながら思った



……西島くん…わたしはあなたを好きになる資格があるの?





もうすぐ7月。日差しがだんだんと夏らしくなってきた。胸に膨らむのは西島くんへのなんともいえない気持ちばかりだった。