俺は今まで、本気で恋なんかしたことなかった。かわいいとか思うやつはいたし、そうゆう子と適当に付き合ってみたりしたけど、好きって気持ちはみじんもなかったんだ




「おい、和‼︎」


はっとした瞬間、バスケのボールが体の横をすり抜けていった

手を伸ばすが間に合わない


「……らしくねーな、和、どうした」


「圭介…」

ドリブルをしながら圭介が本気で心配してきた。


「お前がぼーっとしてボール見落とすなんて、らしくないどこじゃない、緊急事態だね」



まさか、相川のことを考えてたからなんて言えない。


「悪りぃ…」



まさか、自分がこんな急に恋するなんて思ってなかった。これじゃ一目惚れにちかい。まだ全然知りもしないし、話したこともない人に恋するなんて…



どうしたらいいのかわからない。これが恋?



ただ、ほっとけない感じがする。相川のあの哀しそうなほほえみ……


「よし、西島がそんなだし今日は終わりにするか」


部長が後輩たちに声をかけた。



「部長、すみません…」


部長がしっかりしろよ、と笑って言った



情けないな……
もっとしっかりしなきゃ…



俺が強くいないと、相川のあの折れたラケットの話、相川だってしたくないよな


もうあたりは薄暗い。空いた体育館に入り口から風が入り込んできた





ー和には、この青が似合うわよ



ふと声が蘇る。深く刻まれた記憶。


そうだ、俺は…………恋をしても、いいのか?



青いメノウ…なぁ、俺はお前に縛られている。俺はもう自由になってもいいか……?