キミはまるで海のようで


教室に入ろうとしたら、相川が教室にいて、思わずドアの前で止まってしまった。他に誰もいない



何かを手にもってる……ラケット……かな?


相川はテニス部に入るのか、と思っていたとき、相川が持っているラケットが折れているのが見えた



……え?折れてるラケット?ラケットってそんな簡単に折れるのか?


それより、相川制服だし、転入生だからまだ部活やってないよな……なんで持ってきてんだ


次から次に疑問が浮かぶ。やっぱり相川は不思議なやつだ。相川の向こうの窓から海が見える。



俺は無言で、教室に入った



相川がびっくりして、こっちを見上げてくる



「あ、朝の……西島くん…だよね」


「うん」


俺はシューズを机の横からとった


「相川、それ…………ラケット?」


俺はじりじりした気まずさが嫌だったから下を向いたまま聞いた



「……っ。」


相川が言葉につまる。


俺は、相川の方をゆっくり向いた。薄暗い教室と海。


折れたラケットをかかえた相川と目があった



「……親友…だった人のラケット」