「凛?先生にさされてるよ?」
南さんがこそっと言ってきた
「えっ!ど、どこ⁈」
わたしはわれにかえってあわててきいた
南さんが教科書を指差す
「えっと、sinθは√3です」
先生が正解、といって授業を続けた。
「ありがとうございました。」
わたしは南さんにお礼を小さく言った。
「いーよいーよ!!」
南さんが笑う
初めて会ったときから、思ってた。南さんは笑うと香穂に似てる……
ショートカットで、目が大きくて、明るくて…
本当にずっとしゃべってるなぁ……かわいい
わたしはちょっと笑いかけて、やめた
だめだ……南さんと仲良くなったらわたしは南さんを傷つけてしまうかもしれない……
もう、あんなにつらい思いはしたくない…
わたしはいつの間にか、友達の前で張り付いたニセモノの笑顔しかできなくなってたんだ……