「え…………」


わたしの心臓はくるったようになりだした。



「わたしたちはね、井沢の方がむかつくのよ。井沢はわたしたちの大会を奪ったくせして自慢気にしちゃって……」



「そんな!先輩、できませんっ!!」



わたしはさけんだ



香穂の腕は不気味なぐらい震えていた。わたしの腕も、すでに感覚が麻痺しているような気がした



「できないならば、相川の腕を井沢につぶさせるわよ?どうする?あなたに先に選ばしてあげる。もしやれば、わたしたちはもうあなたをいじめたりなんかしない」



もう、わたしをいじめない…………


「り、凛……」



そのとき、他の先輩が香穂を突き飛ばして、地面に押さえ込んだ。


「い、いやだ、凛‼︎凛、助けて!」



「ほら、相川、はやく。腕を使えない程度にすればいいの」


先輩はわたしに香穂のラケットを握らせた。わたしと色違いの……わたしたちの友情の証。


涙が次から次へと流れる



「香穂……ごめ……ごめんなさい……ごめんなさい……」



わたしは……もういじめられたく…ない


そして、わたしは香穂のラケットを握りしめ……


「いやぁああっ!」


香穂がさけんだ。香穂のラケットが……わたしたちの友情の証が折れる音と共に……